はじめに

第2回さくら石狩DC見学ツアー~さくらの夕べin石狩~
に参加してきました。

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体験記としてはさくらインターネット #石狩DC 体験記 - myfinderのはてなブログが一番だと思います。
この文書を読むよりは上記文書を読んで頂いた方がよいです。

さくらインターネット公式の記事は以下の通りです。

Blogを書くまでが第2回さくら石狩DC見学ツアーである…という田中社長のお言葉がありましたので頑張ってBlogを書いている次第です。

あまりメモをしてこなかったので頂いた写真を元に記憶を掘り起こしてコメントをしていきます。
間違っていたら…他に参加された方々がコメントして頂けると勝手に思っていますので、よろしくお願いいたします。


写真から記憶を掘り起こして

下の画面は、見学者用に作られた空調運転のステータス画面です。
1-Aは1号棟のA区画、1-Bは1号棟のB区画のことです。
区画ごとに空調の方式が違っていて、A区画は冷たい空気が壁の横から吹き出してきて、上方の排気されます。
B区画は冷たい空気が天井から吹き出してきて、上方に排気されます。

区画ごとに空調方式を変えられる…というのはすごいなと思いました。
私が働いていた機械室(機械室と呼んでいるのですが、一般的にはサーバールームなのでしょうか…)は、フレキシブルに空調方式をかえることはできませんでした。

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外気は冷たすぎたり、湿度が高すぎたり、低すぎたりするので、外気と排気を混合して適切な温度にして、さらに湿度を調整してサーバールームに送り込まれます。

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A区画とB区画の外気冷房の概念図は以下の通りです。

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ラックからの排気ルートが書いていませんが、ラックからの排気は冷たい空気と交わらないように天井の赤い線に抜けていくような構造になっています。

A区画の壁から吹き出すファンの画像が以下になります。
風が相当強いらしくて、機械には優しいけど人間には厳しいそうです。
一般的な機械室は二重床で、下から冷たい空気がでてくると思います。その空気にやられることが多い私は機械室の中ではコートを着て作業したり、ダンボールで自分の下の吹き出し口を閉めて作業をしてたりしましたが、横からの風は防ぎようが無いな…と思いました。

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下の画面は、ASHRAE2011の推奨温度、推奨湿度に収まっていますなことを示す画面です。
ASHRAEについてはこちらを参照頂くのがいいかと思います。
※私はASHRAEについて知りませんでした…

サーバーに送り込むための空気は冷たければいいってもんではなく、画面の赤い四角の中に入っている必要がありますということだそうです。赤い四角の中に、実際の給気/還気が収まっているのでOKということだそうです。
左側にある赤い点は外気の温度/湿度をプロットしたものです。

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サーバーは熱いのでその排熱も利用しています的な画面が以下の画面です。

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写真にはないのですが、各ラックごとに温度センサーがついていて、どのラックがどのような温度になっているのかを確認することができまして、ああ、いいなあと思いました。

自社では装置が温度警報をあげたときにはじめてセンサーを設置してなんとかするということをしています。
最近のデータセンターは素晴らしいです。

新しい機械室はいいなーと思うのは配線が美しいことです。
マシンを増やしたり減らしたりすると、どうしても配線がいりみだれてしまって、なるべく交差しないようにしたいのですが、交差せざるをえない箇所があってしまいます。
線を目でおってなんとかすることはあまりないのですが…最終的に目でおうしかない場合もありまして、そんな場合に配線が美しいといいですよね。

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なるほどなあ…と思ったのは下の写真です。
現在建設中…もう完成したのかな?の2号棟では実際に空気の流れは大丈夫かを確認するためにドライヤーで試験をしていました。
うちの機械室もこれをやっておけば、マシンを入れてから「熱いー、うわー」とならずにすむのかもなあと思いました。

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この文書を専門でない方がご覧になるかも…ということで、200Vの電気のプラグは下の写真のようなものになります。自分は、はじめて見たときに「何アレ?」と思いました。

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機械室は「いかに冷たい空気だけをサーバーに送り込んで、熱い空気は冷たい空気と交わらせずに機械室から外に出すか」です。その、今のところの最適解が下の写真のような構成のようです。
ラックの後ろから排熱される熱い空気を部屋に閉じ込めて、天井上方に排気します。

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私は機械室に関わり始めて…もう8年くらいかな…になりますが、これを見て超感動しました。
が、他の参加者の方、さくらインターネットの方から「知らないんですか!」と言われて、なんというか、自分のアンテナの低さを反省いたしました。

下の写真は多分…HVDC用のラック上部に設置される電源だと思います(340Vと文字が見えるので、多分そうかなと…)
HVDCだとAC方式より電力効率がいいそうです。知りませんでした…

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私が衝撃を受けたもう一つのことが、そうか、二重床じゃないから蓄電池を置く場所を考えなくていいんだ…でした。
各ラックの列の端っこに、その列のサーバーが必要とする蓄電池が設置されています。
電池は重いので、二重床の上には置けない…置こうとすると、二重床の柱をとんでもなく強くする…柱の間隔を短くしないと駄目だと思います。おけるかな…
何かあったときの影響範囲が分かりやすくていいなーと思いました。

また、こんなに高密度にサーバーを搭載すると荷重が大変なことになりそうですが、二重床でなければできるのか…とも思いました。

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下の写真はディーゼル発電機です。
手前にあるのは起動用の電池だそうです。そうですよね、起動するのに電気が必要ですよね。そんなことも知りませんでした…

ちなみに、電気は余っているそうで、理由はSandyBridge時代の設計で、IvyBridgeに変えたら3割くらい消費電力が下がってくるケースもあるため(話をすっかり忘れていましたので、さくらインターネット #石狩DC 体験記 - myfinderのはてなブログから引用させて頂きます。)だそうです。

機械室におけるマシンの総量は
  • 電気
  • 空調
  • 床面積
  • 耐荷重
で決定されて、床が余っているのに電気が無いとか、床が余っているのに熱すぎて、でも空調は増設できないとか、非常用電源がもうおけなくて、これ以上何もできないとか、あるので、足りないよりは全然いいのかなと思います。都心のデータセンターは、上記4つのどこれかにくるボトルネックと戦っているかなと思います。

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非常用電源室の壁面に設置されたファンです。排気だったか…吸気だったか忘れました。
ディーゼルエンジンが本気で回り始めると大量の空気を必要として、それを供給する必要があるから…だったと思いました。間違えてたらごめんなさい!


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下の画像は、外気を取り込むところのフィルターだったと記憶しています。
1年に1回だったかな…半分ずつ洗濯…えーと、洗うそうです。

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下の画像は、除塩フィルタです。
私、除塩フィルタをはじめて見ました。どういう原理で、これが塩をはじいてくれるのかさっぱり分かりません…

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下の写真は…水冷インバータターボ冷凍機です。
自分で書いててなんのことだか分かっていないのですが、空調機だと思います。
石狩は寒いのであまり動かないかなと思っていたら、夏は意外に暑くて、よく動いているそうです。
よく動いているといっても、この冷凍機は100%の力で動くと効率がいいそうなのですが、100%の力で動かずに送風運転をしていることも多いそうなので、次の棟(だったかな…)はこれを設置しないで普通の空調にしようかなとのことでした。
こちらのターボ冷凍機については、中2病を実現?! さくらインターネット石狩DCを、はてなのエンジニアが見学してみた - はてなブックマークニュースが詳しいです。

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下の写真は特別高圧電気室です。
手前に16個ある箱は力率改善用のコンデンサだったかな…
これを設置すると電力会社ががっつり値引きしてくれるとかしないとか…

電気についても中2病を実現?! さくらインターネット石狩DCを、はてなのエンジニアが見学してみた - はてなブックマークニュースが詳しいです。

石狩データセンターは6万6000Vで受電しているそうです。
6万6000Vを電力会社の変電所から受け取るには
  • 高圧鉄塔を作って送電線を這わせる
  • 地中に洞道を作って這わせる
ことが必要だそうです。

いずれもお金がかかってしょうがないのですが、 石狩湾新港は結構自由に「掘れる」そうですので、特別高圧の電気をもってきやすかったとのことです。

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以下の写真は石狩DCの会議室の様子です。

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機械室で火災があった場合、水や泡で火を消すわけにはいかないので、酸素濃度を低くして消火します。
以下はそのための窒素ガスの写真です。
「へーっ」て感じですよね。
この消火設備の工事/整備には消防設備士の資格が必要で、取るのは簡単なのですが、定期的に講習を受けなくてはいけないので、使わないのであれば取得をお勧めしない資格です。
危険物取扱者のように使わなければ講習を受けなくていい…にして欲しいな…と思います。

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このツアー、なんかこう、いい意味でおかしくて、2日目のオプショナルツアーでは、石狩湾新港にある変電所を見に行くんです、いや、まあ、なんというか、あまりないですよね、変電所を見にいくツアー。

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ついでに、風車も見てきました。

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下の写真は、搬入されたサーバーを常温に戻すための部屋です。
搬入されたサーバーは冷たくて持てないし、そのまま部屋にいれると結露するので、この部屋で寝かせます、とのことです。

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写真は以上です。


さくらインターネットの求人

私はさくらインターネットの社員でもなんでもないのですが…なんとなくいい人が欲しい…という空気を感じましたので、さくらインターネットの求人をしてみます。
※参加された学生さんに「さくらインターネットで働きたいです!」という方がいらっしゃいましたが、頑張って欲しいですね。

Webの世界は私がはじめてWebに触れてから複雑怪奇になってきていまして、昔難しかったことが簡単になっていく一方、本当に難しいことはその手の会社に入らないと学びようも経験のしようもないと思っています。

Webサービスを作って、立ち上げて、人が増えたらスケールしていく…というのはとても簡単になりましたが、そもそもスケールするようなサービスを作らないと、スケールした後の経験を積めない…という状況です。
一方、求められる人材が「大規模なWebサービスを運用したことがある人」とか、まあ、無茶言うなと、そんな人はごくわずかじゃ無いかと、そう思います。

「本当に難しいことはその手の会社に入らないと学びようも経験のしようもない」の「その手の会社」の一つがさくらインターネットじゃないかなあと思います。

今の仕事をやめるつもりはないのですが、石狩DCを見学してる最中に、さくらインターネットの求人情報を見ちゃいました。人生もう一回あったら働いてみたいなーと思いました。

自分はインフラのお仕事をしているのですが、インフラの仕事って結構地味で、ErogameScapeの地味さはインフラ屋が作っているからと文脈と関係ない言い訳しておきつつ、インフラに興味がおありでしたら選択肢の一つに加えていいかなと思います


終わりに

優秀な営業さんは、物を売るんじゃなくて体験を売るのだと聞いたことがあります。
この人から買ってよかったと、そして口コミで、この人はいいよと広まっていくのだそうです。

第2回さくら石狩DC見学ツアーに参加させてもらって、いい体験をさせてもらいました。
ErogameScapeはさくらインターネットのサービスを利用させて頂いていますが、今後も「利用させてもらいたいなあ」という気持ちになりました。

国内の同業他社、海外のサービスにまけないように頑張って欲しいです。